70年代アメ車好き垂涎!

じつに7年ぶりとなるガス・ヴァン・サント映画となる『デッドマンズ・ワイヤー』。まさに多くの映画ファン待望の新作ですが、その物騒なタイトルが気になるところでしょう。
“デッドマンズ・ワイヤー”とは、銃身を短く切り詰めたショットガンの先に付けたワイヤーを輪にして人質の首に括り付け、さらに引き金と自分の首を括り付ける用のワイヤーを同じように輪にして取り付けたもの。つまり、人質が離れようとしたり犯人に危害が加えられると、自動で引き金が引かれ発砲される仕組みになっているのです。

1977年2月、この恐ろしい仕掛けを用いた異常な人質立てこもり事件が米の注目を集めました。警察が迂闊に近づけない状況を作った犯人の男は、自分の訴えを広めるために地元ラジオ局への電話出演や、犯行現場にメディアを招き入れTV生中継を要求するなど、前代未聞の行動に出ます。
犯人の男トニー(ビル・スカルスガルド)は、不動産ローン会社に全財産を騙し取られたとして、同社社長の息子ディック(デイカー・モンゴメリー)を人質に取り、社長自らの謝罪や補償を訴えます。自体が膠着しFBIも出動する中、トニーは人質に銃を突きつけたまま大手TV局を呼んで記者会見を開きますが、ついに電話がつながった社長(アル・パチーノ)から出た言葉は……。

映画冒頭、ビル・スカルスガルド演じる犯人トニーが乗るのは、1970年式のキャデラック・ ドゥビル(コンバーチブル)。スルリと流れるようなカメラワークとは裏腹の緊張感が、早々に観客を釘付けにします。入念な計画がうかがえるトニーの手際の良さと、自身の凶行への畏れが滲み出る表情が見事で、ビル・スカルスガルドの起用は正解だったと言えるでしょう。
そして現場に駆けつけるグレイブル刑事(演:ケイリー・エルウィス)は1971年プリムス・サテライト(4ドアセダン)、TV局のレポーターたちは1974年式のダッジ・トレーズマン、そしてパトカーは1975年式のプリムス・フューリーと、70年代のアメリカ車が続々登場。しかもニュース中継映像は当時の質感を再現しており、最新の映画であることを忘れてしまうコダワリぶりです。
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