1982年式日産レパード4ドアハードトップターボZGX。

2026年10月18日に千葉県千葉市にある商業施設「フェスティバルウォーク蘇我」の共用第2駐車場で開催された「昭和レトロカーミートin蘇我」には、1979年以前のレトロカーだけでなくネオクラックカーという枠が設けられ1980年以降のクルマも展示された。主催が旧車専門誌である『オールドタイマー』なだけにネオクラシックカーは少数派かと思っていたが、会場には数多くのネオクラが並んでいた。

2桁ナンバーのまま44年乗り続けてきたことを考えると驚くほど程度が良い。

イベントが開場する前に展示車両を見ようと早めに会場へ到着すると、真っ先に目に止まったのが真っ赤な初代レパード。旧車イベントでもまずお目にかかる機会がない希少車で、実にオリジナルをよく保っている。しかもナンバープレートを見れば「足立59」の二桁ナンバー。これは価値あるクルマだと考え近くで談笑されていたオーナーにお話を聞いた。

ホイールはSSRマークⅡに変更した。最近になってブレーキローターを新品にしている。

レパードのオーナーは62歳になる伊藤新也さん。二桁ナンバーの訳を聞けば「新車で買ったんです」と驚きの答えが返ってきた。年齢を考えると恐らくだが運転免許を取得した直後か、それより前に注文されたのだろう。それから44年間、車検を切らさず乗り続けているのだそうだ。当時はトヨタから初代ソアラが発売されたことで、高級パーソナルカーはソアラ一強の時期。恐らく日産党なのだろうと聞けば、なんと初代F30レパードをもう1台所有しているほか、Z32フェアレディZまで所有されている根っからの日産車好きだった。

直列6気筒のL型エンジンに追加されたターボ仕様。20万キロ走破してからオーバーホールした。

どうしてまたレパードを選ばれたのかと聞けば、やはりこのスタイルと直列6気筒エンジンが決め手。さらにL型エンジンにターボがラインナップされたことも後押しされたのだろう。ただ2ドアではなく4ドアハードトップを選ばれたあたりに、ソアラとは違う価値観を求めていたように思われる。

真っ赤なインテリアが鮮烈な印象。ステアリングは最近になってイタルボランテに変更した。

44年も乗り続けていればトラブルも出ることだろうと聞けば、20万キロを走ったくらいでエンジンからのオイル漏れがひどくなった。だが、すでに購入した日産ディーラーでメンテナンスは頼まれてなく、一般の整備工場へお願いしていた。というのも一度ディストリビューターの具合が悪くエンジンが掛からなくなった。そこでディーラーへ修理を依頼すると「直せません」と断られたうえ、診断した料金はしっかり取られた。これを契機にディーラーでのメンテナンスを止めることにされた。

この時期だと日産車でもエアコンにエコノミーモードがある。時計にあるクオーツの文字が時代を感じさせる。

オイル漏れによるエンジン修理となれば、オーバーホールも視野に入る。そこで伊藤さんは熟考を重ねた末に埼玉県にある旧車専門店「水上自動車工業」へ足を運んだ。同店では一般修理だけでなくエンジンのOHからチューニング、さらにはボディの板金塗装を含め手広く旧車のレストアに対応している。そこで相談すると快諾してくれただけでなく、同時に足まわりのリフレッシュと車検取得もお願いしたのに費用は安いと感じられるくらい。良い仕事をする専門店は決して法外な費用は請求しないものだ。

デジタルメーターだがオドメーターなどは旧式なまま。

内外装とも非常にキレイな状態を保たれているが、聞けば「運転席だけ張り替えました」ということで、購入時の決め手の一つでもある本革シートを同色で修理されている。作業は水上自動車工業ではなく、ずっと前のことだそうだが、助手席と比べても張り替えたことを感じさせない色合い。なかなかに良い工場を選ぶ眼力を備えているのだろう。

すでにこの時期でもクルーズコントロールが装備されていた。下にはターボタイマーを追加している。

純正から変更したのはSSRマークⅡホイールとイタルボランテのステアリングくらいに見られるが、イタルボランテは最近になってインターネットオークションで手に入れたもの。長年純正ステアリングだったから気分転換になったことだろう。だが、最近ではこうした旧車用パーツの価格が高騰している。高かったのではと聞けば「色が赤なので安く買えました」とのこと。

全く垂れていないルーフライナー。サンルーフ付きだ。

リヤスタイルの写真を見るとわかるのだが、マフラーも変更している。さすがに新車時のマフラーでは穴が空いてしまうことも考えられる。当然純正部品が新品で出てくるわけはないし、F30レパードの社外マフラーなど聞いたこともない。どうしたのかといえば、特注でステンレスマフラーを作ってもらったのだとか。残存数が少ない国産旧車で困るのは補修パーツが絶望的に少ないこと。F30レパードだと同じ日産の他車用が流用できる部分もあるからまだ良いが、マフラーなどは専用部品なので困るところ。ないものは作るという気概を持たないと維持できないのが希少車の現実だろう。