目次
Ducati V21L
1年の開発期間を経て本格製造がスタート
イタリアのミサノ・ワールドサーキットにおける、ミケーレ・ピッロによるシェイクダウンテストから約1年。ドゥカティのファクトリーにおいて、FIMロードレース世界選手権管轄の電動バイクレース「MotoE世界選手権」に2023年シーズンから投入される「V21L」の製造が行われている。
ドゥカティは2022年12月から製造を開始し、2月中旬には23台のバイクを完成させる予定。レースで使用される18台のバイクに加えて、5台のスペアバイクも用意される。それぞれのV21Lは、ドゥカティのMotoEレーシング部門の技術者によって、MotoGP用レーシングバイクと同様に1台1台がハンドメイドで組み立てられる。
イタリア・ボローニャに本社を置くドゥカティは、将来に向けた技術開発を目的として電動プロトタイプバイク「V21L」を開発。V21Lはドゥカティ・コルセが積み重ねてきたレーシングシャシー技術に、高度な電動テクノロジーとバッテリーマネージメントが組み合わせられた。ドゥカティの研究開発部門とレース部門であるドゥカティ・コルセとの共同作業により、世界で最も技術的に洗練された電動バイクが完成した。
電動化に向けた走る実験室としての役割
V21Lプロトタイプは正式発表後、ミケーレ・ピロ、アレックス・デ・アンジェリス、チャズ・デイビスらにより、約1年間の開発テストを続けてきた。2023年シーズンのMotoE世界選手権参戦ドライバーのよるプレシーズンテストは、3月6~8日にかけてポルトガルのヘレスで実施される。その後、4月3~5日にはスペイン・バルセロナでのテストも決まっているという。
V21Lは、フランス・ル・マンのブガッティ・サーキットを舞台に、5月13~14日に行われるMotoE開幕戦フランスGPで実戦デビュー。2023年シーズンのMotoEは、フランス、イタリア、ドイツ、オランダ、英国、オーストリア、スペイン、サンマリノを転戦する8戦が予定されており、8チームが参戦を決めている。
ドゥカティのクラウディオ・ドメニカリCEOは、V21Lには、走る実験室としての役割も期待していると明かした。
「電動レーサーの製造開始は、ドゥカティにとって歴史的な瞬間となりました。このプロジェクトにおいて、私たちは二輪における将来の電動テクノロジーを徹底的に研究することになるでしょう。ファンがドゥカティに期待するパフォーマンスや航続距離を備えた電動ロードバイクの開発に向けて、私たちは積極的な投資を続けているのです」
「MotoE世界選手権を通じて、社内の人材育成も加速することになります。そして、電動バイクの開発推進は、内燃機関のCO2排出量を抑える合成燃料(eFuel)の研究と両輪で進められています。今回のV21Lプロジェクトは、ドゥカティが持続可能性を重視していることを示しているのです」