満充電で30km走行・電気代約10円!「フューチャー」は女性レーサーが手掛けた3輪EVバイク【東京オートサロン2022】

次世代の移動ツールとして注目されている「Future(フューチャー)」の3輪EVバイクシリーズ。フューチャー社はWEC世界耐久選手権レースで女性初の総合優勝を果たしたレーシングドライバー・井原慶子氏が設立し、代表取締役を務める国内の電動バイクメーカー(東京都港区)。東京オートサロン2022に展示された、三重県の鈴鹿工場で生産される“ジャパン・クオリティ”の3輪EVをご紹介しよう。

コンセプトは「庶民の生活に根差した、誰でも気軽に乗れる電動バイク」

写真はFuture mobility F1。フューチャーシリーズは、ダブルウィッシュボーン形式をヒントにした「マルチリーンステア」を採用しているのがポイント。

Future(フューチャー)は、国際自動車連盟(FIA)が運営する「WEC世界耐久選手権レース」で女性初の総合優勝を果たしたレーシングドライバー・井原慶子氏が設立し、代表取締役を務める電動バイクメーカー。写真は同社が設計・開発・生産する、3輪EVバイク・Future(フューチャー)シリーズの2モデルだ。

フューチャーシリーズの誕生は、国内では2020年2月頃から始まったコロナ禍がきっかけ。フューチャー代表の井原氏は、カーレーサーという肩書きのほか、日産自動車取締役、ソフト99取締役、慶応義塾大学大学院特任教授、三重県政策アドバイザーなどを務める超マルチな方。

愛知県春日井市在住の井原氏は、コロナ禍以降、地元商店街の人々から、「配達の必要性=業務の一部転換を重々感じているが、デリバリー用バイクの運転に自信がない」「バイクを運転したことがない」「配達用バイクは高額」という声や、庶民からの「通勤で公共交通機関を使いたくない」という声をキャッチ。2020年の5月から、フューチャーシリーズの開発をスタートさせた。

フューチャーシリーズの開発コンセプトは、「電動アシスト自転車以上・デリバリーバイク未満」。具体的には、年齢や性別を問わずに誰でも気軽に乗れること。他人と接触せずに出掛けられること。出掛けるのが楽しくなる乗り物であること。

メインターゲットは若者ではなく、バイクやキックボードに疎遠な、シニア層を含めた商店街の皆さんや庶民の皆さん。2輪ではなく安定感のある3輪としたのは、バイク未経験者や女性の乗車も想定しているから。

3輪のフューチャーシリーズは2輪よりも転倒しにくく、コーナリング時や停止時はもちろん、直進安定性も抜群。モデルによってはリヤ部に荷台やカゴを設けるなど、実用性も追求。車体は超軽量なので、自転車並の取り回しを獲得。

バッテリーは着脱式を採用し、家庭用100Vで充電OK。4時間でフル充電でき、航続距離は30km。大容量バッテリー搭載の「Future mobility X(47万800円)」は、航続距離50kmを実現している。

ダブルウィッシュボーン形式をヒントにした「マルチリーンステア」を採用

トレッド(左ホイール真中と右ホイール真中の距離)は0.5m超に設計し、原付ではなくミニカーとしているのが大きなポイント。

フューチャーシリーズのコーナリング方法は、バイクと同様、車体をバンクさせて(左右に傾けて)走行するタイプ。フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン形式をヒントに、レースカーの技術をフィードバックして設計した、独自の「マルチリーンステア(特許取得済)」を採用。この点は、カーレーサーでもある井原氏ならではの、こだわりの機構といえよう。

フューチャーシリーズの定格出力は、原付(50cc)と同じ区分となる600W。ただし安定感を獲得するため、フロントタイヤは2輪に設計。加えてトレッド(左ホイール真中と右ホイール真中の距離)を0.5m超に設定(※注1)。そのため、道路交通法では原付ではなくミニカー(水色ナンバープレート)にカテゴライズ。

ミニカーのポイントは、原付にあるヘルメットの着用義務がないこと(安全確保のために被るべし)。また、30km/hの速度制限や、2段階右折義務がないこと。井原氏がフューチャーシリーズを原付ではなく、“あえて”ミニカーとして設計した理由は、ミニカー=原付よりも遥かに利便性が高いという点にもある。

なお、フューチャーシリーズは自動車扱いとなるため、運転には普通自動車免許が必要。

※注1:原付はトレッド(左ホイール真中と右ホイール真中の距離)が0.5m以下であることが前提。0.5m超はミニカー扱いとなる

原付ではなく自動車扱いとなるものの、ミニカー最大のメリットは、自動車に必要な車検・車庫証明・重量税・取得税が一切不要なこと。維持費が原付並みに抑制されるのも、フューチャーシリーズの大きなポイントだ。

フューチャーシリーズの価格は26万1800円(GOGO!S)から。デリバリー車の定番である3輪のジャイロ系は、宅配需要の高騰により、中古車価格も急騰中。20万円台で購入できるフューチャーシリーズは、予算・運転免許・ランニングコスト・保管性の面でも、極めて導入しやすい土壌が整っている。

最高速度30km/hの「Future mobility GOGO!カーゴ」……27万2800円(10%消費税込)

Future mobility GOGO!は、スタンダードの「S」、カゴ付きの、「カーゴ」、荷台付きの「デリバリー」をスタンバイ。写真はリア部にカゴを採用した「カーゴ」。車体重量は23~25kg。

独自の「マルチリーンステア(特許取得済)」は、カーレーサーでもある代表・井原氏ならではの機構。
一般公道走行を想定したフューチャーシリーズは、バックミラーなどの保安部品も完全装備。
荷物の運搬に便利な大型のカゴを装備。
フューチャーシリーズはミニカーのため、ナンバープレートは水色。

Future mobility GOGO!カーゴ 主要スペック

ボディ:パイプフレーム
装備:カゴ、ステイ
サスペンション:マルチリーンステアサスペンション{特許出願済み〕
モーター:ホイールインブラシレスモーター
定格出力:600W
交換式バッテリー:リチウムイオンバッテリー48V9.6Ah
バッテリー重量:約3.5kg
充電時間:~4時間
車両重量:25kg
サイズ:縦1000mm x 横600mm x 高1000mm
シート高:640mm
ブレーキ:F/R=ディスクブレーキ
タイヤサイズ:F=10×2.125 R=10×3.2 
航続距離:30km
最高速度:30km/h
車両区分:ミニカー 
運転免許:普通自動車免許
乗車定員:1名

フルカーボンボディを採用!最高速度45km/hの「Future mobility F1」……47万800円(10%消費税込)

「GOGO!」シリーズは折り畳み機構はないが、F1&Xはイスの取り外しに加え、フロント部の折り畳みが可能なので、車へ積み込みや、室内への持ち込みにも便利。

カーボンモノコックフレームにハイパワーモーターを搭載したハイエンドモデル・Future mobility F1。フューチャーシリーズのスポーツ版ともいうべき高性能モデル。重量18.5kgまで軽量化。最高速度は時速45km/h。イスの取り外しに加え、フロント部の折り畳みが可能。

バッテリーは取り外し可能で、家庭用100Vで充電OK。4時間でフル充電でき、航続距離は30km。なお、大容量バッテリー搭載の「Future mobility X(47万800円)」は、航続距離50kmを達成。

Future mobility F1 主要スペック

ボディ:カーボンモノコックフレーム
ハンドルポスト:カーボン
機構:イスの取り外し、ハンドルポストの折り畳みが可能
サスペンション:マルチリーンステアサスペンション{特許出願済み〕
モーター:ホイールインブラシレスモーター
定格出力:600W
交換式バッテリー:リチウムイオンバッテリー48V9.6Ah
バッテリー重量:約3.5kg
充電時間:~4時間
車両重量:18.5kg
サイズ:縦1000mm x 横600mm x 高1000mm
シート高:640mm
ブレーキ:F/R=ディスクブレーキ
タイヤサイズ:F=10×2.125 R=10×3.2 
航続距離:30km
最高速度:45km/h
車両区分:ミニカー 
運転免許:普通自動車免許
乗車定員:1名

■Future株式会社
https://www.futuremobility.fun/

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北 秀昭