Tech|テクノロジーがわかるとクルマはもっと面白い。未来を予見する自動車技術情報サイト

  • MotorFan[モーターファン]
  • モーターファンバイクス[Bikes]
  1. TOP
  2. ニュース・トピック
  3. コラム・連載記事
  4. 内燃機関超基礎講座

内燃機関超基礎講座 | リタード(点火時期遅角) 点火時期を遅らせると燃焼圧力のピークが下がる

  • 2020/05/20
  • Motor Fan illustrated編集部
このエントリーをはてなブックマークに追加
「瞬時に燃える」のではない | このようなイラストは正確に燃焼を再現していない。ディーゼルエンジンは同時多点自己着火だが、ガソリン(オットーサイクル)エンジンではプラグ近傍から燃焼火炎が徐々に広がる。瞬時に燃えるのではなく、燃え広がる。

エンジンの点火時期を、圧縮上死点から遅らせることを「リタード」という。ではなぜ、遅らせるのか? 今回のテーマは「リタード(点火時期遅角)Retard/Ignition Timing Retard」である。

燃焼は波のように伝わる

燃焼は波のように伝わる |

 リタード=遅らせることは対処療法である。空気とガソリンを混ぜた混合気は、本来ならもっとも大きな膨張(圧力)を得られるタイミングで燃焼させたい。しかし、止むを得ない理由で点火を遅らせなければならないこともある。燃焼室内の圧力・温度が高くなりすぎていてノッキング(不整着火)が起こりそうなときは、ピストンが下降を始め膨張行程に入ってから点火することが多い。

 上のイラストは、ガソリンエンジンの圧縮行程で混合気の温度が上昇し、点火によってその温度がさらに上昇する様子を模式化したものだ。スパークプラグ点火の直後はプラグの周辺だけが燃える。その炎は風船が膨らむように成長し、燃えていない領域へと伝播する。この火炎伝播による膨張圧力を下降するピストンがうまく受け止めれば、大きな力を受けられる。しかし、火炎が伝播する前に、部分的に混合気が高温になって自己着火してしまうノッキングが起きるとエンジンが破損しかねない。

 そこで、ノッキングの予兆を検知した場合に点火時期を遅らせる制御が一般的に採用されている。近年ではプラグ点火前に自己着火するスーパーノック(プレイグニッション)という現象が確認され問題になっている。この対策にも点火リタードが用いられる。ただし、点火時期を遅らせるとピストンが燃焼圧力を受け取る時間が短くなってしまい、エネルギー効率をロスする。ノッキング対策が進む理由はここにある。

点火に時間差を置く | ホンダはあえて2バルブにして吸排気効率に目をつむり、しかし強いスワール(横方向の渦巻き)を使える点を利用して2プラグに時差点火を実用化した。点火方法でノッキングを回避するというアイデアは現在も数多く生まれている。

関連キーワード

おすすめのバックナンバー

自動運転特集

自動運転特集 一覧へ

新型コロナウイルスと自動車産業

新型コロナウイルスと自動車産業 一覧へ

エンジン特集|飽くなき探究心をくすぐる特選アーカイブ

エンジン特集|飽くなき探究心をくすぐる特選アーカイブ 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ