戦前のレースカーや最新スーパースポーツが銀盤を駆ける!

ミウラやカウンタックが冬の湖を疾走!冬のスイスで行われている「氷上のコンクール デレガンス」

「I.C.E. St. Moritz - International Concours of Elegance」に出場したランボルギーニ ミウラ
「I.C.E. St. Moritz – International Concours of Elegance」に出場したランボルギーニ ミウラ。
名峰と湖、氷河が重なり合う美しい景色で知られるスイス東部のエンガディン地方。その中心部であるサン・モリッツでは、2019年より“氷上のコンクール デレガンス」が行われている。戦前のGPカーや往年の傑作スーパーカー、ボンドカー、最新のスーパースポーツといった多彩な名車の数々が、まっ白なキャンバスを背景に疾走する姿を見ることができる稀少なイベントだ。

カウンタックや300 SL、ボンドカーまでが妍を競う氷上コンクール

「I.C.E. St. Moritz - International Concours of Elegance」に出場したメルセデス・ベンツ 300 SL“ガルウイング”
スイスのサン・モリッツで2019年にスタートした「I.C.E. St. Moritz – International Concours of Elegance」。過去に出場したメルセデス・ベンツ 300 SL“ガルウイング”。

冬のサン・モリッツで行われている「I.C.E. St. Moritz – International Concours of Elegance(以下、サン・モリッツコンクール)」は、ペブルビーチやヴィラ・デステ、サロン・プリヴェとは一線を画す個性派コンクールイベントだ。会場となるのは極寒の山岳エリアで、凍てつく湖上がその舞台。「The coolest and coldest concours in the world(世界で最もクールで、最も寒いコンクール)」とも称されている。。名誉審査員会長を務めるジョルジェット・ジウジアーロ氏は、同コンクールを次のように評している。

「クルマは雪の上にいると、道路上と違って他に気を散らせるような要素がありません。ですから、デザイナーが白紙の上に自動車を描いたかのような効果がもたらされるのです」

まっ白な背景に浮かび上がる純粋なクルマ単体の姿が眺められることに加えて、その車両が活き活きと走り回る様子を見ることができるのもサン・モリッツコンクールの特徴だ。“静”よりも“動”。そういう意味では、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの氷上版とも言えそうである。

冬の凍てつくサン・モリッツの湖上に集う面々は非常にユニーク。これまでに、ランボルギーニ カウンタック25th アニバーサリーモデルやベントレー 4.5リッター ツアラー、メルセデス・ベンツ 300 SL ガルウイング、ジャガー Dタイプ、さらにはボンドカー仕様のアストンマーティンDB5まで、時空を超えた名車の数々が出場してきた。

2022年はアルファロメオ ティーポ B P3やミウラがクラスウィナーに

「I.C.E. St. Moritz - International Concours of Elegance」に出場したフェラーリ 250 GTE “Polizia”
「I.C.E. St. Moritz – International Concours of Elegance」に出場したフェラーリ 250 GTE “Polizia”。ルーフにサイレンを装着している通り、かつてイタリアの警察で仕様されていたパトカー仕様だ。

2022年の開催日は1月26日。コロナ禍とあって参加台数は45台と控えめではあったものの、稀少な“夢のクルマ”たちが氷の世界で美の競演を繰り広げた。8つの部門でそれぞれウィナーに輝いたのは次のクルマたちだ。

最高の栄誉「Best in Show」を獲得したのはアルファロメオ ティーポ B P3。そして、今年の“スター”として最も輝いた「Stars on the Wheels」にはランボルギーニ ミウラが選出されている。湖の上で見事に“映えた”「INSTALake」はフェラーリ 250 GTO。「Jetset on Ice」の栄冠を得たのはフェラーリ 275 GTB アルミニオ。「Vintage Road Racing」はモーリス ミニ クーパー S Ex ワークスに。氷上で最も輝いたオープンカーを決める「Barchetta on the Lake」にはジャガー Cタイプが選ばれた。

「Spirit of St. Motitz」の栄冠を戴いたのは、大変ユニークなフィアット 130 “ヴィラ・デステ”。フィアット130セダンをベースに作られたステーションワゴンモデルは、カロッツェリアのOfficina Introzziによりたった4台のみ製作された超稀少車。このうち、最初の1台は“ヴィラ・デステ”と呼ばれ、ジャンニ・アニェッリの個人車両として作られた。彼は冬になるとスキーやバスケットをこのワゴンに積み込んで、自宅からサン・モリッツまで出掛けていたという。まさしくサン・モリッツのスピリットに通じる1台というわけだ。

マセラティは最新スーパースポーツのMC20も投入

「I.C.E. St. Moritz - International Concours of Elegance」に出場したマセラティMC12 (写真右)とMC20(写真左)
「I.C.E. St. Moritz – International Concours of Elegance」に出場したマセラティ MC12 (写真右)とMC20(写真左)。

「Vintage Grand Prix」の誉れはマセラティ 4CLが浴することとなった。マセラティ車は他にもA6GCS-53 ベルリネッタ ピニンファリーナや200S、初代ギブリ、3500 GT、さらに現行のレヴァンテも登場。そして、最新スーパースポーツのMC20と、そのルーツであるMC12の“アイスダンス”も披露した。

MC20は、マセラティの新章を告げる新型ミッドシップスーパースポーツ。シャシーからエンジンまですべて新設計、新開発した力作である。“MC”は「Maserati Corse」の頭文字であり、Corse=コルセはレースフィールドとの強い繋がりを示唆している(マセラティは本車でレースフィールドに復帰することも公言済み)。“20”は、マセラティが新しい時代に向けての歩みを進めた重要な節目である「2020年」からのネーミング。コンバーチブルモデルのプロトタイプもすでに開発プログラムの最中にある。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…