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Honda NSX
2代目NSX最終モデルの日本販売分は30台
ホンダは2021年8月13日(米国太平洋標準時)、2022年型のNSX タイプSを世界初公開した。新色のマット(ツヤ消し)カラーを設定するなど特別なメニューを盛り込んだ仕様で、全世界で350台を販売予定。日本国内向けには30台が割り当てられることになる。これは2016年8月に発表された2代目NSXの最後を飾るモデルであり、ホンダのスーパースポーツの歴史はこれをもって一旦幕を閉じる。
北米ではアキュラブランドで取り扱っている2代目NSXは、2016年以来、オハイオ州のパフォーマンス・マニュファクチュアリングセンターで生産されてきた。デビュー後は、『ロード&トラック』誌の“パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー”や『オートモビルマガジン』誌の“オールスター”、『モーター トレンド』誌の“ベスト・ハイブリッド・パフォーマンス・カー”といった栄誉あるアワードを相次ぎ受賞。IMSAレースシリーズでも活躍するなど、その認知度をアメリカの地へ着実に浸透させていた。
初代NSX同様のコレクターズアイテムとなるか
アキュラのナショナルセールス部門アシスタント バイスプレジデント、エミール・コルコーは次のようにコメントしている。
「NSXはアキュラのパフォーマンスブランドとしての価値の再構築、そしてタイプSの復活にあたり重要な役割を果たしました。このマーケットには大きなエンスージアズムが根付いており、タイプSは、アキュラのラインナップ全体の頂点を体現するモデルとしてそこに送り出されます」
1年限り、しかも350台限定となるNSX タイプSは、初代NSX同様に独創的でコレクター心をそそるモデルとなる。たとえば1999年に51台だけ生産されたNSXザナルディ エディションや、1992年〜1995年に日本市場限定で483台が販売されたNSX-R、1997年〜2001年に209台が作られたNSX タイプS、そして1997年〜2001年に30台のみ製造されたNSX タイプS-Zeroのように。
初代NSXから継承した革新性
2022年型NSX タイプSは、システム最高出力600hp、システム最大トルク667Nmを発生する。ターボチャージャーのブースト圧を6%増加するとともに、バッテリー容量も拡大するなどしてパワートレインを強化。鈴鹿サーキットのラップタイムは、2021年型NSX比で2秒上回っているという。
9速DCTもチューニングを見直し、シフトアップ時のレスポンスを50%向上。同時に「ラピッド(急速) ダウンシフト モード」も新たに搭載した。また、エアロダイナミクス面にも改めて手を入れ、エンジンの冷却効率をさらに向上したうえ、NSX GT3マシンにインスパイアされたカーボンファイバー製リヤディフューザーも採用している。
70台限定のマットグレイは輸送工程もスペシャル
よりレスポンスに優れたドライビング性能を求めるオーナー向けに「ライトウェイトパッケージ」も用意する。カーボンセラミックブレーキやカーボン製エンジンカバーに加え、内装材にもカーボン材を積極的に用いることで、約26.2kgの軽量化が可能になるという。
今回採用した新色「ゴッサム グレイ」というツヤ消しペイントは、350台中の70台に限定される特別なボディカラー。ちなみに繊細な取り扱いを要するマットカラーとあり、完成車両の輸送工程も“スペシャル”である。新しい保護フィルムをはじめ、より厚く柔らかなボディカラーなどを準備したそうだ。
米国での販売価格は邦貨約1869万円から
2022年型NSX タイプSの車両価格は、北米仕様で16万9500ドル(約1869万円)、ライトウェイトパッケージ装着車が18万2500ドル(約2012万円)。現時点(2021年8月13日)では、日本国内向け仕様の販売時期や値段、詳細などは未発表である。
初代NSXは1990年に販売をスタート。量産車初のオールアルミ モノコックボディを採用し、大幅な軽量化を実現したジャパニーズ・ミッドシップ・スーパースポーツとして一大センセーションを巻き起こした。2016年に登場した2代目NSXも、ホンダ独自の電動化技術である3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載。最先端技術を積極的に導入する姿勢を初代から継承した。これまでに、アメリカ市場で1500台以上、世界で2500台以上が販売され、6年のサイクルを経てラインナップから姿を消すことになった。