建設現場に欠かせないあのクルマも『トミカ』にあります!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.53 日産ディーゼル クオン ミキサー車

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.53 日産ディーゼル クオン ミキサー車 (ミキサー回転・希望小売価格550円・税込)

ミキサー車とは主に建設業界で使用される、生の固まっていないコンクリート――生コンクリート(以下、生コンと略)――の品質を保ったまま工事現場などへ運搬するための貨物自動車です。荷台の部分がミキシングドラムという生コンを入れるための円筒状の容器になっています。正式名称をアジテータ・トラックといい、レディミクスト車やトラック・ミキサーなどとも呼ばれています。

ミキサー車の代表的な架装メーカーの一つであるKYBの大型ミキサー(写真は『トミカ』と同一規格のものではありません)。(PHOTO:KYB)
UDトラックス クオン CW 6×4 ミキサー(2PG-CW4AL型) 実車フロントビュー(『トミカ』のモデル車両ではありません)

生コンは大部分がセメントで、砂や砂利といった骨材と水で構成されています。これらの材料はそれぞれ重さが異なるため、ダンプカーなどでそのまま運ぼうとすると、時間が経過するにつれて車の振動によって重量がある物質は沈殿し、軽い物質は浮きあがって分離してしまいます。そのため、生コンを回転する容器に入れて常時回転させ、生コンの材料が分離しないようにする装置がミキシングドラムです。

ミキシングドラムの内部にはミキシングフレーム(ブレード)というらせん状の羽のような形の板が付いており、生コンはこのミキシングフレーム沿いに移動して容器の上部に運ばれ、上部まで達すると下に落ちます。この運動が繰り返されてミキシングドラム内で生コンがかき混ぜられることにより、生コンの材料が分離することなく現場まで輸送することができるのです。

日本でコンクリートが使われ始めた頃は、現場練りコンクリートが主流でした。運搬するにも当初はダンプカーに積載するだけという単純な方法で生コンの輸送を行なっていましたが、1952年にミキサー車が考案されて生コンの運送方法が見直され、品質の安定したコンクリートが運搬できるようになったのです。

このミキサー車には様々なサイズがあります。大きければ良いというわけではなく、現場や搬入路の位置や広さ、生コンの量などによって、2~12tの様々なサイズのミキサー車から最適なサイズの車両が選択されます。現場が広く、搬入路も広ければ大きなミキサー車で1回で運んでしまえますが、狭い山道の奥の狭い現場ならば、小さなミキサー車を何台か連ねて運ぶ、あるいは何回かに分けて運ぶことになります。生コンはセメントと水が反応すると硬化がはじまるので、90分以内に現場に納品することとJIS規格で定められています。このため生コンの輸送は時間との勝負なのです。

初代クオン 6軸車 実車フロントビュー(『トミカ』と同一規格ではありません)。

『トミカ』の『No.53 日産ディーゼル クオン ミキサー車』は、ベース車両が6輪ですから6軸の大型ミキサー車であることがわかります。ミキサー車のベースとなっているクオンというトラックはUDトラックスの大型トラックです。このクオンは現在、2代目モデルとなっていますが、『トミカ』のものは初代モデルです。

実はUDトラックスは2010年に社名変更したのですが、それ以前は日産ディーゼルという会社名でした。2代目クオンは2017年に登場したため、最初から『UDトラックス クオン』という車名であり、『トミカ』の商品名と同じ『日産ディーゼル クオン』は2004年に発売された初代モデルしか名乗れないのです。このため『トミカ』は初代クオンを再現しているとわかるのです。

トラックでは世界初となる尿素SCRシステム『FLENDS』を採用し、新長期排出ガス規制適合を施行の1年前に実現したGEエンジン。

さて、2004年に登場した初代クオンは発売当時、電気系統、安全面、環境面において世界初ともなる革新性をもつ、さまざまな最先端技術が組み込まれていましたが、特に環境対応技術は高い評価を受けました。日本では、2005年を目標に新長期排出ガス規制が設定されましたが、あまりに厳しい目標のため、業界では達成は不可能と考えられていました。これに対し、初代クオンは排出ガスの浄化装置に、トラックでは世界初となる尿素SCRシステム『FLENDS(フレンズ)』を採用することで環境性能と燃費性能を大幅に高め、新長期排出ガス規制適合を施行の1年前に実現しています。エンジンには、ユニットインジェクターを採用したGEエンジンシリーズを搭載、最高モデルは410psとなっていました。

2017年に登場した2代目クオンも、先代から受け継ぐクラス最高レベルの燃費・環境性能と力強さの両立、スムーズでストレスの少ない快適な走りをもたらすドライブライン、乗員と積荷を守ることに加えて、周囲の安全性も同時に確保する先進的な安全装備、快適かつ運転に集中できるインテリアなど、先進的なトラックとなっています。もちろん2代目クオンをベースとしたミキサー車もラインアップされています。

『トミカ』の『No.53 日産ディーゼル クオン ミキサー車』は外形の再現性もさることながら、ミキサー(ミキシングドラム)を回転させることが出来る楽しい1台になっています。

■UDトラックス クオン CW 6×4 ミキサー(2PG-CW4AL型) 主要諸元(諸元は最新の実車のものです。『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):7995×2490×3710

ホイールベース(mm):4570

トレッド(前/後・mm) :2040/1835

車両重量(kg):2300

エンジン:GH8F型直列6気筒ターボインタークーラーディーゼル

排気量(cc):7697

最高出力: 263kW(357ps)/2200rpm

最大トルク:1428Nm(146kgm)/1200rpm

トランスミッション:7速AT(ESCOT-Ⅵ)

サスペンション(前/後):エアサスペンション

ブレーキ(前後) :空気式 ディスク

タイヤ:(前後):11R22,5-14PR

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部