【写真とともに振り返る】王者vs世界を目指す若手……2023年のスーパーフォーミュラに吹いた新風

2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権はマシンがSF23に切り替わったこと以外に、レッドブルの育成ドライバーであるリアム・ローソンがエントリーしたことが大きなトピックだった。2023年シーズンは日本でキャリアを積んだ王者に世界の頂点を目指す若手が挑む構図となり、選手権は大いに盛り上がった。

第1戦・第2戦 富士

2023 SUPER FORMULA

2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は7ラウンド、9レースで争われた。開幕ラウンドは4月8~9日、富士で開催された。1大会2レース制が採用されたこのラウンドでは金曜日にフリー走行、土日それぞれで予選と決勝が一日で行われるフォーマット。しかし、7日のフリー走行は雨で中止となった。
事実上ぶっつけ本番となった8日の第1戦では、2021年から選手権2連覇を果たしてきた野尻智紀(TEAM MUGEN)がポールポジションを獲得。そして決勝では野尻がレースをリードする展開となったものの、タイヤ交換の直後にチームメイトでルーキーのリアム・ローソン(TEAM MUGEN)がコース上で野尻を攻略。そのままローソンが来日初戦で初勝利を挙げた。2位には野尻が入り、TEAM MUGENがワン・ツー・フィニッシュを飾った。
翌9日の予選では、再び野尻がポールポジションを獲得。野尻はスタート直後の1コーナーで大湯都史樹(TGM Grand Prix)の先行を許したものの、ピットのタイミングで逆転に成功。そのままポジションを守りきりシーズン初優勝を果たした。

第3戦 鈴鹿

2023 SUPER FORMULA

第3戦は4月22~23日、鈴鹿で行われた。予選では大湯がポールポジションを獲得。決勝でもホールショットを奪うなど快走を見せたが、レース後半にタイヤ交換を終えた直後、後方から迫ってきた野尻とS字で接触。大湯、野尻ともにここでレースを終えた。このクラッシュによりセーフティカーが導入されたが、ここにタイヤ交換を合わせた宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が優れたペースを見せてトップを奪取。そのままチェッカーを受けて初勝利を挙げた。

第4戦 オートポリス

2023 SUPER FORMULA

5月20~21日に行われた第4戦の舞台はオートポリス。予選は坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)がポールポジションを獲得した。決勝では坪井がレース前半を引っ張る展開となったが、早めにタイヤ交換を終えたローソンが坪井のピットインのタイミングでトップに立つとそのまま逃げ切り勝利。ルーキーながら4戦目にして2勝目を挙げた。

第5戦 SUGO

2023 SUPER FORMULA

第5戦SUGOは6月17~18日に開催。速さに定評のある大湯が予選でトップに立った。決勝のスタートでも大湯はポジションを守って1コーナーを通過。レースを引っ張り始めるが、徐々にペースが鈍っていくと、宮田が大湯を攻略してトップに浮上。宮田は終盤までタイヤ交換を先延ばしにする作戦を見事に完遂し、シーズン2勝目を手にした。

第6戦 富士

2023 SUPER FORMULA

第6戦富士は7月15~16日に開催された。このラウンドでポールポジションを獲得したのは牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)で、決勝でも序盤をリードする。2番手を走行していたローソンが早めのピットストップを行うと、牧野もそれに反応して翌周にタイヤを交換したものの、2コーナーでローソンが牧野を逆転し事実上のトップを奪う。ローソンはそのままポジションを譲らず、3勝目をマークした。

第7戦 もてぎ

2023 SUPER FORMULA

8月19~20日に行われた第7戦の舞台はもてぎ。ポールポジションを奪ったのは野尻だった。野尻は健康上の理由により第4戦を欠場するなどして王座防衛には厳しい状況に立たされていたが、ここで速さを見せつけるかたちとなった。決勝はオープニングラップの多重クラッシュにより赤旗中断が挟まれたものの、野尻は終始いいペースを維持してポール・トゥ・ウィン。今季2勝目を挙げてシリーズ3連覇に望みを繋いだ。

第9戦・第10戦 鈴鹿

2023 SUPER FORMULA

2カ月あまりのインターバルを経て、2023年最終ラウンドが10月28~29日に開催された。最終大会も開幕戦と同様に1大会2レース制のフォーマットが採られた。鈴鹿ラウンドにタイトル獲得の権利を残していたのは宮田、ローソン、そして野尻の3名だった。
28日の第8戦では予選で野尻がトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。野尻は決勝でもホールショットを奪いレースをリード。また後方でも激しいポジション争いが展開された。しかし5周目、130Rで笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)と大津弘樹(TCS NAKAJIMA RACING)が絡むクラッシュが発生し、レースが赤旗中断に笹原のマシンを受け止めたコーナーアウト側のフェンスが破損し、修復に時間を要することで、レースは3周目終了時点で成立された。
29日の最終第9戦は、ローソンがポールポジションを獲得した。しかし、決勝は2番グリッドから好発進を決めた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がリード。2番手ローソン、3番手宮田、4番手野尻というオーダーでレースが進行していく。各々バトルを繰り広げたものの順位は変わらず、最終戦で大田がシリーズ初優勝。また、宮田は3位となり、参戦4年目にして念願のチャンピオンを獲得した。

2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権 ドライバーランキング
Rank.No.DriverTeam & EnginePts.
137宮田莉朋VANTELIN TEAM TOM’S
TOYOTA / TRD 01F
114.5
215L.ローソンTEAM MUGEN
HONDA / M-TEC HR-417E
106.5
31野尻智紀TEAM MUGEN
HONDA / M-TEC HR-417E
106
438坪井 翔P.MU/CERUMO・INGING
TOYOTA / TRD 01F
59
520平川 亮ITOCHU ENEX TEAM IMPUL
TOYOTA / TRD 01F
58
65牧野任祐DOCOMO TEAM DANDELION RACING
HONDA / M-TEC HR-417E
43
76太田格之進DOCOMO TEAM DANDELION RACING
HONDA / M-TEC HR-417E
35.5
83山下健太KONDO RACING
TOYOTA / TRD 01F
32
953大湯都史樹TGM Grand Prix
HONDA / M-TEC HR-417E
22
1065佐藤 蓮TCS NAKAJIMA RACING
HONDA / M-TEC HR-417E
17.5
117小林可夢偉Kids com Team KCMG
TOYOTA / TRD 01F
17.5
1239阪口晴南P.MU/CERUMO・INGING
TOYOTA / TRD 01F
15
1364山本尚貴TCS NAKAJIMA RACING
HONDA / M-TEC HR-417E
14
1414大嶋和也docomo business ROOKIE
TOYOTA / TRD 01F
13
154小高一斗KONDO RACING
TOYOTA / TRD 01F
10
1612福住仁嶺ThreeBond Racing
HONDA / M-TEC HR-417E
9
1718国本雄資Kids com Team KCMG
TOYOTA / TRD 01F
7
1855C.ブリュックバシェTGM Grand Prix
HONDA / M-TEC HR-417E
5
1950松下信治B-Max Racing Team
HONDA / M-TEC HR-417E
4
2036G.アレジVANTELIN TEAM TOM’S
TOYOTA / TRD 01F
3
1大津弘樹TEAM MUGEN
HONDA / M-TEC HR-417E
0
19関口雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL
TOYOTA / TRD 01F
0
36笹原右京VANTELIN TEAM TOM’S
TOYOTA / TRD 01F
0
51R.ハイマンB-Max Racing Team
HONDA / M-TEC HR-417E
0
53大津弘樹TGM Grand Prix
HONDA / M-TEC HR-417E
0
53大草りきTGM Grand Prix
HONDA / M-TEC HR-417E
0
64大津弘樹TCS NAKAJIMA RACING
HONDA / M-TEC HR-417E
0

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