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ディーゼルエンジンがターボばかりなのはなぜか——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第45弾

  • 2020/02/10
  • Motor Fan illustrated編集部
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フォードEcoBlue 2.0 ディーゼルエンジン

ディーゼルといえばターボ。いまでは全数といって差し支えないフォーマットになった。あらためて、なぜディーゼルエンジンにはターボ過給が組み合わされるのかを考えてみる。
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)

 欧州のガソリンエンジンは、気付けばダウンサイジングターボ一辺倒。自然吸気エンジンを探すのが難しいほどだ。
 ところが日本に目を転じると、自然吸気エンジンとダウンサイジングターボが混在。トヨタは “ダイナミックフォース” と称する自然吸気エンジンの新シリーズを発表する一方、ホンダは積極的にダウンサイジングターボを展開しており、どちらかに収斂する様子は見られない。

 一方で、ディーゼルエンジンはまるで様相が異なる。乗用車用から大型トラック用まで、ほぼすべてがターボ過給エンジンだ。一体この違いは、どこから来るのだろうか?
 答えは簡単で、ディーゼルエンジンは過給しないと、商品性も環境性能も成り立たないからだ。

「少し前」のディーゼルエンジンの例。ダイムラーOM601。1997cc自然吸気ディーゼルエンジン。190Dなどに搭載されていた。

 ディーゼルは圧縮上死点直前で燃料を噴射するため、理論空燃比相当の燃料を噴いても空気とは完全には混じり合わず、燃え残りが出て黒煙がモウモウになる。だから全負荷時でもリーンで燃やすしかなく、トルクが出ない。排気量が同じ無過給エンジン同士で比較すると、ディーゼルはガソリンエンジンの6〜7割しかトルクが出ないのはこのためだ。

 古い無過給ディーゼルを知っている人はわかると思うが、同一モデルでもディーゼルエンジンはガソリンエンジンより3〜4割がた排気量が大きく、しかも2.0ℓを超えても自動車税は高くならなかった。それはこうした特性が考慮されていたからだ。
 しかもディーゼルエンジンはストロークが長くてピストンも重いため、高回転まで回せずパワーも出ない。これではガソリンエンジンとは勝負できないから、過給機に頼るしかないのである。

マツダSKYACTIV-D 2.2の2ステージターボシステム。EGRの大量導入により後処理装置なしでNOx排出規制をクリアした。

 しかし実際には、ディーゼルのターボ化が進められたのは、排ガス対策をパスするという側面が強かった。NOx規制をパスするには、燃料噴射タイミングを遅らせたり、EGRを入れたりする必要があるが、噴射タイミングが遅ければトルクは落ちるし、EGRを入れれば利用できる酸素が減って、黒煙は増えるしトルクも出なくなる。
 それを解決する手段がターボチャージャーで、新鮮な空気を大量に押し込めば、酸素濃度が高まって黒煙は減らせるし、燃やせる燃料が増えてトルクも出る。吸入気体の体積が増えれば、それによる熱の吸収量も大きくなり、燃焼温度が低下してNOxも減る。すなわちNOx規制をパスするには、過給するのは必須だったのである。

 もちろん、ディーゼルと過給は相性が良いという側面もある。ディーゼルエンジンは基本的にノッキングしないから、機械的強度限界まで過給圧が高められ、小さな排気量から大きなトルクを引き出せるのは、みなさんご存じだと思う。
 しかし、それはむしろ「たまたま」であり、ディーゼルがターボ化された最大の理由は、排ガス対策に必須だったから。ディーゼルエンジンにとってのターボチャージャーは、単に出力増強装置というだけでなく、排ガス対策に欠くことのできない存在なのである。

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