目次
Lancia Pu+Ra HPE
今後登場する新生ランチアを予告

フル電動クーペとして開発された「ランチア Pu+Ra HPE」は、約10分の充電時間で700km以上の航続距離を確保。100kmあたりのエネルギー消費量を10kWh以下に抑えるという、ランチアが掲げるブランドビジョンを体現している。
今回、2024年のデビューを予定している新型「イプシロン」から導入される「S.A.L.A」バーチャルインターフェイスを初搭載。S.A.L.A.は、ステランティス・ブランドで初めて、カメレオン&TAPE(テイラード・プレディクティブ・エクスペリエンス:Tailored Predictive Experience)技術を採用しており、オーディオ/空調/照明機能を一元化し、ボタン操作や音声によって車内環境を一変させることができる。
さらに、イタリアの高級家具ブランド「カッシーナ(Cassina)」とのコラボレーションにより、“ファニチャー”の世界からインスパイアされた独自のインテリアを採用した。
ランチアのルカ・ナポリターノCEOは、ランチア Pu+Ra HPEについて次のようにコメントしている。
「ランチアは、皆様にPu+Ra HPEをお披露目します。このクルマは今後10年間のランチアのブランドビジョンを可視化するだけでなく、私たちを電動モビリティの時代へと導く存在です。新型イプシロンをはじめ、私たちが手がける未来のクルマは、このランチア Pu+Ra HPEからインスパイアされた存在となります」
「Pu+Ra ゼロ」ベースのエクステリア

ランチア Pu+Ra HPEのエクステリアは、先行公開された「Pu+Ra ゼロ」のデザインコンセプトをベースに開発。典型的な自動車の枠を飛び越え、時代によって色褪せることないイタリアン・デザインが追求された。新生ランチアのデザイン言語を体現しており、ボリューム感のあるボディに円や三角形などのシンプルな造形をシームレスに組み合わせている。
「Pu+Ra」に加えられた「HPE」は「ハイパフォーマンス・エレクトリック」の頭文字であり、最後の「E」は、エコ・持続可能性(Eco-sustainable)、興奮(Exciting)、進化(Evolved)を同時に実現するクルマであることも意味しているという。ちなみに「HPE」というモデルネームは、1970年代にランチア ベータで初めて導入され、当時はスポーティさと実用性を併せ持った「ハイパフォーマンス・エステート」の意味が与えられていた。
ランチア Pu+Ra HPEのテーマカラーとして、ボディカラーに「プログレッシブ・グリーン(Progressive Green)」を採用。青みがかったグリーンは、最新顔料を使用したリキッドメタルがベースで、歴史的名車「フラミニア アズーロ ヴァンセンヌ」へのオマージュとなっている。
歴代ランチアをオマージュしたデザイン

フロントセクションは、これまでの歴代ランチア製モデルのグリルを再解釈。放射状に広がる3本のライトバーは未来へ前進する様を表現しており、遠くからでも一目でランチアと分かるデザインを実現している。
革新的な円形ルーフは、新生ランチアのデザイン言語の特徴でもある「建築的」な要素のひとつであり、パッセンジャーに、広大なパノラマビューを提供する。
リヤウインドウは70年代のランチア ベータHPEを彷彿とさせ、包み込むような水平ラインは、ストラトスなどでお馴染みのサンブラインド構造を現代風にアレンジ。テールライトもまた、ストラトスをオマージュしている。
エクステリアデザイン全体に過去車両からのエッセンスを引用しながら、けして懐古趣味には走らない先進性が加えられた。また、丸型テールライト間には新書体のブランドネーム「LANCIA」がレイアウトされている。
カッシーナと共同開発されたインテリア

「S.A.L.A」バーチャルインターフェイスが導入されたインテリアは、ランチアとカッシーナという、イタリアを象徴するふたつのブランドによるコラボレーションだ。カッシーナが持つ100年にわたる家具作りのノウハウを活用し、現代的で持続可能性を持ったインテリアを実現している。
家庭的な雰囲気の室内は、リビングルームに置かれた布張りの家具類、多機能性を持ったコーヒーテーブル、暖かさを持ったカーペットなどをイメージ。統一感のある素材とカラーが重視され、丸型カーペットや、ヴィコ・マジストレッティがデザインしたカッシーナ製アームチェアをモチーフにした専用フロントシートが導入されている。
幾何学的なフォルムは、ラウンドテーブル、センターコンソール、ダッシュボードにも採り入れられている。これまでの自動車の常識を覆したランチア Pu+Ra HPEのダッシュボードは、クリアカットが交差する1枚の丸型ガラス板をベースに製作されているという。