シェラカップって、じつは固有名詞 スズキ・ジムニー(JA71C)でアウトドアへ

アウトドア用品であるシェラカップを素材違いに並べた写真
各シェラカップタイプの「取っ手」
シェラカップって、じつは固有名詞なの、ご存じですか? 自然保護団体「シェラクラブ」が会員証の代わりとして配ったカップが発祥とされ、その後、そのカップを販売することで一部の資金が自然保護に使われるようになったんですよ。さて、このステンレス製のカップ、もちろんカップとしても使用でき、直火にかけられる優れモノなのです。

TEXT & PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
イーグルプロダクツの「キャンプファイアー・ケトル」

世界一美しいやかん、いや「ケトル」を持って…… スズキ・ジムニー(JA71C)でアウトドアへ

アウトドアで使うアイテムは世界中に数多存在するが、そのなかで「美しい」モノを探そうとするとな…

アイテムが山のように増えていく〜

日本でもシェラカップが店頭で販売されていた時期(現在は未確認)があり、値段は1600円前後だったと思う。その横にICI石井スポーツのシェラカップタイプが置いてあり、こちらは1400円ほどだったかと記憶している。30年以上前なので、正確ではないが。

カップを選ぶ場合、登山なら耐久性よりも軽さを選ぶだろう。トレッキングなら、僕は重量を多少泣いても耐久性も吟味する。クルマ移動でシェラカップタイプで調理を楽しむなら、重量度外視で熱伝導率の良い銅製を視野に入れてもいいだろう。色々なタイプのカップのなかには中空の物もある。保温性は上がるが、中が真空で作られた物(存在していないと思う)でないのなら、もちろん直火にはかけられないので僕は選ばない。

アウトドアになにを持って行くかは、その行程、使用目的で吟味する。色々な遊びを実行しようとすると、アイテムが山のように増えていってしまうのがたまにキズ。

この30年ほど前のアルミ製のカップは軽い。だが、素材が柔らかいので傷つきやすく、リベットが緩んでそこから水が漏れる(リベットの緩みは叩いてやれば良いのだが)。取っ手も歪み、本体も変形してしまった。

話を戻そう。その後、シェラカップタイプ(ここからはシェラカップと書きます)はアウトドアメーカーが自社ブランドで販売するようになり、発展していく。いまは素材もステンレス以外の物、真鍮製、チタン製、銅製の物も販売され、サイズも原型よりも小さい物、大きい物と豊富になってきた。そして底が小さく上は広い薄型のこの形のカップをシェラカップと呼ぶようになった。
シェラカップの特徴は取っ手のワイヤーが本体の淵をぐるっと廻っていたのだが、そこもリベット留めになっていたり、ワイヤーが廻っておらず本体に溶接されていたりする物もある。

上段左から銅製、チタン製、ステンレス製の各シェラカップタイプ。下段は左からダイソーのざる、シェラカップタイプ用のチタン製の蓋。
各シェラカップタイプの「取っ手」。左から銅製、ステンレス製、チタン製、ダイソーのザル。チタン製は折り畳める。

本来のシェラカップの使い方はザックに引っかけておき、さっと出して「美味しい湧き水を頂く」、そんな感じだったと思う。ところが多種多様になったことで、調理も楽しめるようになってきた。また、先祖がひとつなので、ほぼ同形。スタッキング(重ねて収納すること)も可能。

スタッキングの例として、銅、ステンレス、チタンのシェラカップ、ざる、チタン製の皿1、アルミ製の皿2、チタン製の蓋(焼くも担当)合計8品目で長さ約20cm(取っ手含む)、幅約13cm高さ約8cmに納まる。少しでも軽くしたいのなら、チタン製のシェラカップ、チタン製の蓋(焼く調理も担当)、 チタン製の皿1でたった約120g、大きさは約16.1cm 高さは約5.5cmに納まるのだ。これで一品を料理して、皿に移し次は炊飯と、火加減には気を使うが過不足ない夕食も可能となる。

スタッキングした状態。ひとつの収納袋へ入れておく。この時に収納数を覚えておく。例えば「7」と記憶しておけば、収納時に数えるだけで紛失を予防出来る。

ここからは各シェラカップの特徴を探っていこう。残念ながら、真鍮製は手元にない。まずは銅製。

少し大きめのこの銅製のシェラカップは日本製。容量は400cc。少し大きい。内側は焦げつき防止のために錫めっきが施されている。重量は約175gで取っ手は真鍮製。もっとも調理に向くが、メインテナンスには気を遣う。

銅製のシェラカップタイプは内側に錫めっきが施されている。

チタン製はもっとも軽く、300ccで約45g。調理に使うと熱伝導率が低いので、焦げつくことが多い。とくに小さなバーナー部の熱源を使うときには手を焼く。メインテナンスは硬いチタンなので、僕はステンレスのたわし、もしくはスティールウールで焦げを落としている。

チタン製のシェラカップタイプ。「取っ手」は折りたたみ式。中国製。

オールマイティにこなしてくれるのはやはりステンレス。重さは僕が所有しているICI石井スポーツのもので約80g。素材の厚さにもよるのだろうが、ステンレス製は80gから100gあたりのようだ。

30年ほど使い込んだステンレス製のシェラカップタイプ。これはICI石井スポーツプロデュース。

使い方の例として、チタンの蓋を「焼く」に使う。写真では調理に向く銅製のシェラカップにチタン製のシェラカップを蓋として利用する。このチタン製のシェラカップは取っ手が外れるので、逆向きに装着して持ちやすくしている。もちろん、同じ形のシェラカップをふたつ使えば同じように使うこともでき、スタッキング(重ねて収納すること)もラクになる。
シェラカップで炊飯をしようと思うと、当然ながら小さい。0.5合あたりが限度と思う。僕にとってはちょうど良いが。

それ「無印良品」にありますよ

シェラカップでラクして美味しい物。それもソロにちょうど良い量。それ「無印良品」にありますよ。

「無印良品」はレトルト食品でも歴史があり、「おひとりさま」に特化して商品を提供している。種類も豊富で3~4泊のテント生活ですべての食事を「無印良品」で済ましても飽きない。ソロで行きたいが、どうも料理は苦手、また調理よりも違うアトラクションに時間をかけたい人にはまさにお勧めのブランドである。そのなかで、湯煎するタイプ、水を加えて加熱するタイプ、米と一緒に炊き込むタイプをご紹介。

「無印良品」ブランドのレトルト、フリーズドライ食品は数が多い。また健康への気遣いも特徴。そのなかから数種類をピックアップ。

まずは水を加えて調理するタイプ。「イタリアでつくったポルチーニソースのペンネ」。小食の人ならこれだけでちょうど良い量かもしれない。
次は湯煎するシリーズから「世界の煮込み 仔羊の煮込み」。封を切りシェラカップ型に入れて温める。その方がお湯を温める分のエネルギーを使わないと判断。蒸発分を考えて、僕は水を10ccほど足す。
最後は炊き込みごはん用。米2合分用と量が多く、シェラカップで使うには無理がある。調味料を小分けにして使おうとしたが、内容が液体と固形物なので簡単に小分けにできず。小さなチタン製の飯ごうで試してみたが、火加減が難しく上手くいかなかった。4合炊きの飯ごうなら良い結果になっただろう。これもテストしてみなくてはわからない。だが、どのシリーズのナニを選んでもこの「無印良品」ブランドは満足のいくシリーズがラインアップされている。

フランスのキノコと言えば「ポルチーニ」。そのペンネ。ソースは粉末。300ccの沸騰したお湯に入れる。400ccの銅製のシェラカップタイプを使う。
銅製は熱伝導が良い。水蒸気がほぼ底全面から上がってくる。
チタン製の調理器具は熱伝導が低いので、一ヵ所が熱くなることが多い。対策のひとつとしてかき回しながら弱火で加熱、バーナーとクッカーの間に、細かい網を入れる方法もある。

キャンプブームであるいま、アイテムはいろいろと増えてきた。僕自身は、基本は30年以上前の山岳用ダンロップのテント、コールマンのピークワン、ノルディスクのシュラフを使用しているが、このキャンプブームのお陰で続々と出る新しいグッズも気になって仕方ない。否定したり、どれが一番なんて言ってはいられない。使ってみて良ければ、また新しい「ソイツら」とも長いつき合いになるのだから……。

おっとピークワンのタンクからエアが漏れてるぜ。

最後までお読みいただきありがとうございます。これからのシーズン、害虫がいなくなり、快適なアウトドアの季節となりますよ。それではまた次回お目にかかります。

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著者プロフィール

伊倉 道男 近影

伊倉 道男

フォトグラファー。国学院大学法学部法律学科卒。アパレル会社にて総務人事、営業を経験。その後、但馬 治…