連載
自衛隊新戦力図鑑中国、日本近海で実弾射撃訓練
7月20日、小泉防衛大臣は訪問中のイギリスで中国の軍艦が「日本のEEZ(排他的経済水域)の内側で実弾演習」を行なったことを公表し、21日深夜にはその詳細が自衛隊から発表された。
発表によれば、7月16日に中露艦隊が宮古海峡を通過して太平洋に進出、19日に沖ノ鳥島南西180kmのEEZ内で射撃訓練を実施した。確認された中国艦は「レンハイ級駆逐艦」「ルーヤンIII級駆逐艦」、および補給艦と公表されている。

中国の海軍艦艇については、空母戦力の増強が広く知られている。2012年から2025年のあいだに3隻を就役させ、現在4隻目の建造が確認されている。一方で、駆逐艦など水上戦闘艦が話題になることは少ない。しかし、その増強ぶりは驚くべきものだ。今回は現在までの中国水上戦闘艦の発展について解説していきたい。
なお、中国艦の艦型表記はNATOによるコードネーム(例:レンハイ級)と、中国軍の名称(例:055型)の2種類が広く使用されている。本稿では両者を併記する。

中国版イージス艦の完成
もともと中国海軍は沿岸域での活動を主体としており、最大でも満載排水量3000トン代の小型艦で占められていたが、1990年頃から外洋化に向けた大型駆逐艦の建造を開始する。それが5700トンの052A型(ルフ級)および、6600トンの051B型(ルハイ級)駆逐艦だ。

2000年代に入ると、アメリカのアーレイ・バーク級イージス駆逐艦に相当する艦隊防空艦を目指し、052A型・051B型をベースとしてロシアの兵装や技術を加えて発展させた052B型(ルーヤンI級)が誕生する。これは将来的な空母艦隊建設に向けた動きである。
ただし、052B型までは試行錯誤の段階であり、いずれの艦型も2隻以下の建造数にとどまっている。状況が大きく変わるのは2000年代中盤以降だ。
052B型を発展させた052C型(ルーヤンII級)は、国産のレーダーシステム、艦対空ミサイルを搭載した本格的艦隊防空艦として6隻が建造された。そして、技術を洗練させた052D型(ルーヤンIII級)は「中国版イージス艦」の“決定版”ともいえる艦であり、2014年の就役以降、段階的な発展を経て現在までに35隻もの大量建造が行なわれている。

2020年には艦対空だけでなく、極超音速対艦弾道ミサイルなど強力な艦対艦兵装を備えた055型(レンハイ級)が建造された。排水量13000トンに達する巨艦であり、すでに10隻が建造されている。

2026年現在、052C/D型・055型に限っても計51隻の就役が確認されている。日本が同期間に建造したイージス艦(こんごう型・あたご型・まや型)計8隻をはるかに凌駕し、世界最強のアメリカ海軍に迫る勢いだ。その巨大な戦力を背景に、中国は西太平洋の大きな脅威となっているのである。
7月30日発売の『自衛隊新戦力図鑑2026-2027』では、「西太平洋の海軍戦力」と題して、アメリカ、中国、台湾の主要水上艦艇について能力・戦闘力を詳しく解説している。ぜひ、ご覧いただきたい。

主な内容
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