クルマのドレスアップで、一番先に考えるのはホイールのチェンジだ。実際にやってみると、ホイールでクルマのイメージはスポーティにもドレッシーにも変わってくる。さて、そんなホイール選びのときによく聞くのが「鍛造(たんぞう)」「鋳造(ちゅうぞう)」という言葉。ご存じの皆さまにはいまさらではあるが、鍛造は金属を叩いて成形する加工法で、鋳造は金属を溶かして液体にして型に流し込む加工法のこと。
僕は数回ほど赤く熱されたインゴットを高圧をかけてプレスする鍛造ホイールの製作過程を見学させていただいたことがある。鍛えて造るという名のとおり、一回で一度に成形するのではなく、数回に分けて叩く。プレスではなく、確かこの「叩く」作業を「鍛える」というと説明を受けた。数回行なう「鍛える」は同じ「型(カタ)」は使わない。最終の形に徐々に成形していくのである。またその都度、温度も管理していかなくてはいけない、大変手間のかかる作業なのである。だが、その結果、金属の強度が増す。鋳造品と同じ強度を保つのなら、鍛造は金属の質量を減らすことができる。結果、製品の軽量化を図れることにもなる。もちろん、すべての金属製品を鍛造で作れば良いということにはならない。ホイールに関してはデザインも、製品選びの重要な要素だからだ。
さて、キャンプ用品のなかにも鍛造という物が存在する。ペグである。こちらは重量を減らすというよりも、強い金属にすることで硬い地面に対応するように採用されている。ちなみにいまやチタン合金のペグも存在していて、販売されている。
鍛造は日本のお家芸でもある。「刀」だ。刀剣乱舞(とうけんらんぶ)の世界的な大ヒット。もちろん、僕自身は「刀」を所有しているわけではないが、アウトドアに持ち出すことがある鍛造品として、ハスクバーナの手斧、ハイキングハチェットと日本製のダマスカス鋼のペティナイフがある。鍛造の切れ味はどうか? 最終的な切れ味はやはり研ぎ手の腕によるのではないかと、僕自身は思ってはいる。
銃身と照準器をトレードマークとするハスクバーナは、元々はスウェーデン王室も愛用した銃の製造工場だという。最近売却されたモーターサイクルの製造は1903年から。こちらはかなり歴史がある。チェーンソーの製作は1959年とじつはかなり新しいが、林業用のエンジンチェーンソーが初めて作られ、大量販売されたのは1929年とのことである。
ハクスバーナは多国籍の企業であり、僕のハイキングハチェットはドイツ製。柄はヒッコリーだ。同じハクスバーナの斧でも、ドイツ製やスエーデン鋼、鍛造、柄はアメリカのヒッコリー、テフロン加工など、生い立ちはさまざまだ。このあたりに拘る人は専門的な知識を持ったショップに相談したほうが良いだろう。
同じ「鋼」という字を使うが、スウェーデン鋼とダマスカス鋼は意味合いが少し違うと思う。世界遺産にも登録されているインドの「錆びない鉄柱」もダマスカス鋼で作られていると言われている。この鉄塔は1500年の間、錆が内部に浸透していないのである。また、最近、製造方法が明らかにされたツタンカーメンの鉄剣。鉄隕石から、低温での鍛造で作られていたと発表されたことも興味深い。このあたりの製造方法が、また発祥の地域としてダマスカス鋼の起源なのではないかと興味を膨らませているところである。
現在ダマスカス鋼といえば、木目といえば良いのか、層のような模様を持つ鋼を指す。古来の製造方法が判明できておらず、異種金属を重ねて鍛練することによってこの波紋を出している。この波紋に神秘性を感じ、また切れ味の鋭い刃物として世界中で人気があるのだ。
今回は台湾風スパイシー唐揚げ!
さあ料理だ。台湾風スパイシー唐揚げ、ジーパイにチャレンジ。魅惑の9種類のスパイスをブレンド。日清フーズ。これはかなりお手軽。だが、僕のソロ用のフライパンは小さい。鶏胸肉はでかい。そこでB級グルメ感は損なわれるが、しかたがないので半分に切る。ついでの豚肉でも試してみることにする。
ダマスカス鋼のペティナイフはすばらしい切れ味だ。オレンジ色のモーラナイフも良いのだが、しばらくは出番がなさそうである。
手斧、ハイキングハチェットはどう使う? 今回は刃の部分はペティナイフに任せて、肉たたきとして使用。これは強力。鶏胸肉はあっという間にヘロヘロになってくれる。麺棒でも試してみたが、ハイキングハチェットのほうが男料理には向いている。例えば刃物1本でフィールドに出るとする。その場合、このハイキングハチェットを選ぶ価値は充分にあると思う。