実はグッドデザイン賞も受賞している頼もしいアイツも『トミカ』になっています!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.71 日立建機 ホイールローダ ZW220

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.71 日立建機 ホイールローダ ZW220 (アーム上下可動/バケット上下可動/車体左右可動本体・希望小売価格550円・税込)

ホイールローダーとは、車両の前方に資材などをすくい上げるパワーショベルやバケットを備え、工事現場などにおいては土砂などをトラックに積み込んだり、農場では堆肥などの積込に使用したり、降雪地帯においては除雪作業にも用いられるショベルローダーの一種で、そのうちのホイール=車輪で走行するタイプの四輪駆動のものを指します。タイヤローダーあるいはタイヤショベルなどと呼ばれることもあります。

日立建機 ZW220-6実車フロントビュー (『トミカ』の車両と同一規格ではありません)
日立建機 ZW220HYB-5B 実車リヤビュー(『トミカ』の車両と同一規格ではありません)

ショベルローダーは物をすくい上げる用途で使うよう作られているため、また、車体には接地力に優れた履帯(りたい)――無限軌道、クローラーあるいはカタピラ――ではなく車輪を使用している点はホイールローダーと同じでも四輪駆動ではなく前二輪駆動のため、ブルドーザーなどに比べるとショベルあるいはバケットなどで地面を掘り進む力が弱く、基本的には地面を掘るような作業には使用しません(ただし雪などの柔らかい物であれば掘り進むことが出来るため、除雪作業などの場合は雪を掘り進むような使い方もされます)が、ホイールローダーは四輪駆動のため、地面を掘り進む能力を持ち、荒れた路面や軟弱な路面、あるいは急傾斜の路面を走行することができます。

走行しながらリフトアームを上げていく操作を“ライズラン”と言うが、ZWシリーズはこの“ライズラン”を約10%スピードアップしている。

ショベルローダーもホイールローダーも機構的にはほぼ同じなのですが、ショベルローダーはどちらかと言えばフォークリフトに近く、法律の上ではフォークリフトと同様に荷物や資材の積み下ろしを行なう荷役(にえき)機械に分類され、ホイールローダーはブルドーザーのような建設機械に分類される点が大きな違いとなっています。また、ショベルローダーはフォークリフトと同じように、後輪で舵を切って曲がりますが、ホイールローダーは車体の中央が折れ曲がって舵を切る点が異なっています。

悪路や雪道などを走行する時に発生する車両の縦揺れ(ピッチング)や飛び跳ね(バウンシング)を打ち消すように『ライドコントロール』がフロントを自動制御。振動や衝撃が抑えられるため、乗り心地の良さと荷こぼれの低減に大きく貢献する。

さて、『トミカ』の『No.71 日立建機 ホイールローダ ZW220』は、このホイールローダーのうち日立建機が製造している代表的な中型ホイールローダーをモデル化しています。『ZWシリーズ』は大型から小型まで、世界市場に対応するために技術を結集して開発されたホイールローダーで、作業内容に応じエンジンとポンプの両方のトルクを協調して制御する業界初の『TT(=Total Torque-control)システム』を採用し、低燃費でありながら最大の作業量を可能にした新次元のホイールローダーとして2005年にデビューしました。

リフトアームの油圧回路をフリーにし、自重で路盤の凸凹に追従させることで積み込み作業の時にこぼれた土砂などの回収や道路の除雪などで威力を発揮する『フロートシステム』や、バケットをダンプした後、バケットを地面と水平な姿勢に復帰させて積み込み作業時の煩わしいバケット微調整が不要になる『バケットオートレベラ』などが装備され、作業性アップに貢献している。

ZWシリーズはこの『TTシステム』に加え、車速と車両の負荷を検知し、滑らかな変速を実現するとともに、作業内容に応じて適切な走行モードを選択でき、スムーズな走りを実現した『新型トランスミッション』、従来機では不可能だったリフトアームとバケットを同時に動かす複合動作を可能にし、掘削や積込みといったフロント作業を効率良くスムーズに行なえるようにした新パラレルタンデム回路の採用、作動油の吐出量を制御できる可変容量型ポンプの採用といった『新油圧回路』の採用、平地でのスピーディな作業、傾斜地での確実な作業など、あらゆる作業環境に柔軟に対応できるよう、ブレーキの踏み込み量に応じてクラッチのカットオフタイミングを変えられる『クラッチカットオフ・モード』の採用により、作業性の大幅な向上が果たされています。

操作席はジャストフィットのエアサスペンション付きシート、スイッチ類の集中配置、ピラーレスのワイドパノラマキャブなどによって快適空間を実現している。

また、優れた視界やエアサスペンション付きシートの採用、加圧キャブとキャブ上の『ZWハット』と呼ぶ樹脂ルーフの採用による居住性の向上、メンテナンス性や安全性の向上がはかられています。加えて2005年に登場した初代モデルは2006年度のグッドデザイン賞を受賞、そのデザイン性も高く評価されています。

リフトアームの操作(上げ/下げ)をする際に、あらかじめ設定した高さで自動的にリフトアームを停止させる『リフトアームオートレベラシステム』。停止させる高さはキャブ内から自由に設定可能。バックしながらリフトアームを下げる場合や積み込み作業時所定の高さまでリフトアームを上げる場合などに威力を発揮する。作業効率だけでなく安全性向上にも有効だ。

ZWシリーズは現在までに逐次改良が続けられており、オフロード法2014年基準に適合した、現在、多数を占めている6世代目の『ZW-6シリーズ』を経て、2021年末にヨーロッパで発表されたばかりの『ZW-7シリーズ』へと進化を続けています。ZW220-6は高効率エンジンの採用により作業量は従来機と同等のまま燃料消費量を4%低減、排出ガス後処理装置にDPF清掃、交換によるメンテナンス費用が発生しないDPFレス排出ガス後処理システムの『尿素SCRシステム』を採用したほか、車体の揺れによる荷こぼれ抑制やオペレーターの疲労低減のための様々な改良が施されています。またZW220HYBというハイブリッド・モデルも存在しています。

世界中で使用されているZWシリーズは、着々と進化を重ねている。

『トミカ』の『No.71 日立建機 ホイールローダ ZW220』はデザインから見ると、このZWシリーズの中型機種であるZW220の中でも、グッドデザイン賞を受賞した初代モデルを再現しているようです。アームやバケットの可動、そしてホイールローダーの特徴とも言える車体の中折れ式操舵をイメージした車体の可動など、様々なアクションによってホイールローダーの魅力を余すところなく伝えている1台となっています。

■日立建機 ホイールローダ ZW220-6(標準リフトアーム/ストックパイル/BOC/バケット容量3.4立方m) 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):8325(バケット地上時)×2785×3375(キャビン天井)

ホイールベース(mm):3300

トレッド(前後・mm) :2160

運転質量(kg):17480

エンジン形式:カミンズQSB6.7型 直列6気筒ディーゼル

総排気量(総行程容積):6690cc

最大出力(グロス):149kW(203PS)/1600rpm

最大出力(ネット):145kW(194PS)/1600rpm

定格出力(グロス):149kW(203PS)/2200rpm

最大トルク(ネット):906Nm(93kgm)/1500rpm

最高走行速度(前進/後進)(km/h):36.0/26.2

速度段数(前進/後進):5/3

最大けん引力:153kN(15600kgf)

最大登坂能力:46.6%(25度)

燃料タンク容量(軽油):255ℓ

尿素水タンク容量:25ℓ

タイヤサイズ(前後/チューブレス):23.5-25-16PR(L3)

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