頼もしい10トン・トラックも『トミカ』になっていますよ!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.85 三菱ふそう スーパーグレート

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.85 三菱ふそう スーパーグレート (コンテナ積み下ろし可・希望小売価格550円・税込)

スーパーグレートは三菱ふそうが製造・販売している10トン級の大型トラックです。1996年にザ・グレートの後継車としてデビューした初代モデルは好評を博し、現在最新の現行モデルは21年ぶりにフルモデルチェンジして2017年にデビューした2代目モデルとなります。この2代目モデルは「経済性」「安全性」「快適性」、さらには新時代にあわせて通信技術を用いた「コネクティビティ」を大きな柱として開発されています。

スーパーグレート実車フロントビュー(WINGボディ/2017年モデル)
オーストラリア/ニュージーランドのオセアニア地域では『ショーグン510』という名前で販売され活躍している。

パワーユニットにはいずれも新規開発された排気量10.7ℓの6R20型と7.7ℓの6S10型の直列6気筒ディーゼルエンジンが用意され、用途に応じた最適なパワートレインの選択が可能となっています。10.7ℓの6R20型エンジンは、6R系エンジンとして第2世代の排出ガスのコントロールシステムを搭載し、制御の自由度を高めて燃焼効率を極限まで高めることにより、小型軽量化したにも関わらず、先代車に搭載された12.8ℓの6R10型エンジン以上の低速トルクを実現。さらに全回転領域においてパワフルで扱いやすいエンジン特性を持ち合わせています。また、エンジン単体では先代で用いられた12.8ℓエンジンに対して約170kgの軽量化を達成しており、パワフルで軽いエンジンになっています。この6R20型エンジンには3タイプの出力特性のものが用意されています。

10.7ℓ 6R20型 直列6気筒インタークーラーターボディーゼルエンジン(アンシンメトリックターボ搭載)。
6R20(T1)型:最高出力265kW(360PS)/1600rpm、最大トルク2000Nm(204kgm)/1100rpm
6R20(T2)型:最高出力290kW(394PS)/1600rpm、最大トルク2000Nm(204kgm)/1100rpm
6R20(T3)型:最高出力315kW(428PS)/1600rpm、最大トルク2100Nm(214kgm)/1100rpm

7.7ℓの6S10型エンジンは、先代車に搭載された12.8ℓエンジンから排気量にして約40%の小型軽量化が行なわれています。過給システムには小型ターボ(高過給)と大型ターボ(低過給)による2ステージターボチャージャーが新たに採用され、低速域での応答性能と高速域での力強さが両立されています。低速低負荷領域と高速高負荷領域の走行シーンに合わせてそれぞれのターボを有効に活用することで、小排気量ながら大型トラックに不可欠な“タイヤがひと転がりする際(=発進加速時)のパワー”を重視した出力特性と、低回転域から中回転域まで連続する力強いトルク特性を実現しています。これには2タイプの出力特性のものが用意されています。

7.7ℓ 6S10型 直列6気筒インタークーラーターボディーゼルエンジン(2ステージターボ搭載)。
6S10(T1)型:最高出力260kW(354PS)/2200rpm、最大トルク1400Nm(142kgm)/1200-1600rpm
6S10(T2)型:最高出力280kW(381PS)/2200rpm、最大トルク1400Nm(142kgm)/1200-1600rpm

これらのエンジンは走行性能と同時に環境性能も大幅に向上しています。具体的には、まず燃焼特性を極限にまで昇華させることでエンジンそのものから排出されるPM(=粒子状物質)が低減されています。さらに新開発の『新BlueTec(ブルーテック)システム』によって効果的にPMとNOx(=窒素酸化物)を除去することで、燃費性能の向上と排出ガスのクリーン化を両立しています。

『Shift Pilot(シフトパイロット)』 12速機械式自動トランスミッション。

この新開発エンジンに組み合わされるのが、クラッチペダルのない2ペダル化と自動変速を実現した『Shift Pilot(シフトパイロット)』と呼ぶ12速機械式自動トランスミッションです。『Shift Pilot』はマニュアルトランスミッションですが、AMT(Automated Manual Transmission)と呼ばれる自動化マニュアルトランスミッションで、一般的なオートマチックトランスミッションのようにDレンジでの運転操作だけで路面状況や車両負荷などに応じた変速操作を自動的に行ないます。ドライバーによるクラッチ操作が不要となるため運転操作における負担軽減が望めるトランスミッションです。

この『Shift Pilot』は前進12段/後退2段で構成されていますが、直結12速のG211-12型と、OD12速のG230-12型の2種類が用意されており、用途に応じて組み合わされます。また、きめ細やかなシフトプログラムによって積荷の重量に左右されないスムースな走行性能が確保されており、さらにスロットル制御とクラッチ制御を緻密に連携させることで、微速域でのアクセル応答性を向上させたほか、セレクトとシフトシリンダー用のアクチュエーターを統合することで、燃費の向上とシフトフィールを大幅に改善しています。

さらに、平坦路でブレーキを弱く踏んだまま停止したり、坂道の途中でブレーキペダルを弱く踏んだまま停止したりといった際に誘発される意図しない前進や後退を抑制する『ヒルホルダー機能』が備えられており、『EZGO(イージーゴー/坂道発進補助装置)』も先代から引き続き採用されています。これらに加えて、雪道や泥濘路、さらにはくぼみ路などからの脱出性能を高める『ロッキングフリーモード』も備えられています。

まるで乗用車のような、ドライバーの運転のしやすさや視界に配慮されたコクピット。木目パネルなどが使われた豪華な『エグゼクティブライン』というスタイルもある。

2代目スーパーグレートは安全性能にもまた磨きがかけられています。安全規制である『AEBSフェーズ2(衝突被害軽減ブレーキ第2段階規制)』の条件を満たしている衝突被害軽減ブレーキ『AMB plus(エーエムビープラス)』は、前方に走行中または静止中の車両があり、衝突の危険を察知した場合に警告ブザーやディスプレイ表示とともに、自動ブレーキを作動させ衝突被害を軽減します。また、この『AMB plus』を発展させた、停車車両に対して『AMB plus』よりも高い衝突被害軽減性能を有する衝突被害軽減ブレーキ『ABA4(Active Brake Assist 4/アクティブ・ブレーキ・アシスト4)』も設定されており、『ABA4』だけの機能として、歩行者との衝突のリスクを検出した場合も警告ブザーとディスプレイ表示のほか自動ブレーキによる減速操作(減速操作のみ)が行なわれます。

左折時の巻き込み事故を抑制する運転支援技術『アクティブ・サイドガード・アシスト』など様々な先進安全技術が採用されている。

さらにドライバーのわき見や居眠りを監視して注意を促す『アクティブ・アテンション・アシスト』、左折時の巻き込み事故を抑制する運転支援技術『アクティブ・サイドガード・アシスト』などの数々の安全運転支援システムが装備されています。また、快適性も向上させる機能として『プロキシミティー・コントロール・アシスト』と呼ぶ発展型の車間距離保持機能付オートクルーズも装備され、渋滞時の疲労軽減効果を望むとともに追突事故を抑制します。

さて、『トミカ』の『No.85 三菱ふそう スーパーグレート』は、この2017年に発売された「経済性」「安全性」「快適性」に優れた2代目モデルを再現しています。スーパーグレートのボディバリエーションにはカーゴ、WING(ウィング)、ダンプ/ミキサー、トラクタの4種類がありますが、赤いコンテナは着脱式なので、カーゴボディが再現されているということになります。さすがに実車通りのバランスとまでは行きませんが、それでもよく実車の雰囲気が再現されており、コンテナ着脱のギミックとあわせて楽しい1台になっています。

■三菱ふそう スーパーグレート FU(6×2後2軸) 総輪エアサス車 主要諸元(『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):11990×2490×2955

ホイールベース(mm):7220

トレッド(前/後・mm) :2050/1850

車両重量(kg):9300

エンジン:6R20(T2)型直列6気筒インタークーラーターボディーゼル

排気量(cc)10700:

最高出力: 290kW(394ps)/1600rpm

最大トルク:2000Nm(204kgm)/1100rpm

トランスミッション:12速AMT(直結12段Shift Pilot)

サスペンション(前/後):エアサスペンション

ブレーキ(主/補助) :空気式リーディングトレーリング/圧縮圧開放式エンジンブレーキ

タイヤ:(前後):275/80R22.5

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